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銀座「夏野」で、てつぼくの箸を。
おもいきり先の細く尖った箸に、ながいあいだ恋い焦がれていた。
唇への当たりが繊細で、口に入れた瞬間の食材の素性がよくわかる。
ごはんが美味しい。

謎のYouTuber

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YouTubeからメールが届いた。
私にSubscriberがついたというものだった。
ちなみに私は、動画はおろかコメントすら一度も投稿したことがない。
ただひっそりと潜伏していただけなのに。
この、自称18歳のオジさんSubscriberは、いかなる動機から私に接触したのか。
今後の動きに注目したい。

溪の流れ

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ニジマスの燻製をいただいた。
頭からしっぽまで、ドレスを脱がせるがごとく(脱がせたことなどありませんが)、するりと皮がむける。
しまった身にかぶりつくと、燻された濃厚な脂が口のなかにひろがる。
ご自分で釣って自ら燻すという、釣り好きの方の手によるものなので、美味さは格別だ。
ヒッコリー、クルミの香りの奥に渓の流れを思う。

上野へ。

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上野へ。
初雪の東京だが、早い桜はほころび始めていた。
「韻松亭」でランチを。
窓の外の杜を眺めながら、豆菜料理に舌鼓。
豆御飯、おかわり自由に大感激。でも、二杯でやめておく。あと三杯いけたのに。
帰りに、トイレのスリッパをそのまま履いて玄関まで来てしまい、案内係を慌てふためかす。
すまんすまん。
鳥居を抜けて、不忍池に出ると、雲のあいだから陽が射し始めた。
池のほとりの東屋で、白雪姫に出てくる七人の小人のようなおじいさんが、ぽつんと鴨をながめていた。
「うさぎや」でどら焼きを。
「いくつですか。」と言われ、「一個で。」とは言えず。二個買う。
久々の上野はいい。

陥穽

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歩いていたら、右の太ももに金属の感触。
すこし冷たい。
ジーンズのポケットに入れたケータイが、裏地の穴のあいた部分から「こんにちは」していたのだった。
穴には気づいていたが、まだまだいけると高をくくっていた。
そんな私の心を見透かすように、いつのまにか深く大きな陥穽。
その日は左のポケットに入れなおして行動したのだが、どうにもこうにも落ち着かなかった。
穴を侮ってはならない。

アドリアナ ヴァレジョン

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品川の原美術館に「アドリアナ ヴァレジョン」を観に。
久しぶりに絵を観て泣きそうになりました。
すべての作品をまわった後、ショップで、彼女の図録と、フィンランド製の「LUMIPALLO(ルミパッロ)」を購入。
このLUMIPALLO、握った感触が、しっかりと固めきることのできないパウダースノーの雪玉のようで、思わず衝動買いです。
巷にはいろんなストレスボールがありますが、これは秀逸です。
もう一度、彼女の全作品をまわり、陽の差し込むカフェでランチ。
最後に、しつこいようですがもう一度、じっくりと時間をかけて作品を眺め、目に焼き付けて帰ってきました。
今、ちゃんとした絵が猛烈に描きたくて仕方がないです。

こんなもの書いている暇があったら、絵を描けってことですよね。
いや、描いたんですけどね、あまりの酷さにショックを受けて、文章に逃げているのです。

コンデンスミルク党

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この間、苺を買ったときに、隣で買え買え光線を出している、ノンファットコンデンスミルクにもついつい手がのびてしまった。
コンデンスミルクなんて、十何年ぶりのことだった。
苺にたっぷりとかけて、口に入れた途端、小さい頃の記憶がぶわっとよみがえった。
あ、プルースト、なんてひとり語ちる。
苺がなくなって、残ったコンデンスミルクをスプーンにとって一口でいった。
美味しいんだな、これが。甘党ですしね。
今日もノンファットコンデンスミルクを買ってきてしまった。
隣の苺は確信的不買。

夜中に、ちゅうちゅうチューブごと吸っているおっさんを想像されると、私のイメージが崩れるので、ちゃんとバターロールにつけて食べていることをここに記しておきます。

沈丁花

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近所の沈丁花。
しばらく続いた暖かい夜には
遠くまで匂いを届けていたのだけれど
少し肌寒い今宵は
遠慮がちに足もとに落とすだけ。
わずかな風も
月明かりも
その花の意思を変えることはできず
ただただ。

Visitor

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この間、寝ていたら、すぐ近くに人の気配が。
うそ!泥棒!?と思い、そっと目を開けようとしました。
しかし、ぜんぜん瞼が上がりません。
それどころか、身じろぎすらできない状態です。
なんだ金縛りか、とほっと胸をなで下ろし、またそのまま眠りにつきました。