この時期になると思い出すことがある・・・。
私はバスルームから出る時、ドアのところで足の裏についた水滴をバスルームの方で払ってからバスマットに着地する妙な癖がある。
ドア枠に手をかけて、少し前傾姿勢で脚をバスルームの方に残したまま、びゅんびゅんと大きく二度振り、その後足首を軽く振って出てくる。右、そして左脚の順で。
あまりバスマットをびしょびしょにしたくないという気持ちからの行為だと思う。
小さいころからスポーツ漬けの日々を送っているため、大腿四頭筋とその裏のハムストリングスと呼ばれるところが強靭だ。
脚を振るスピードは相当に速い。
軽く力を入れずに曲げ、鞭のようにしならせて爪先をトップスピードに持っていく。
振り切った真っすぐに伸びた脚は、あたかもインパラが高く跳躍したときの後肢のように美しい緊張が走る。
もう何年も前のこの時期のこと。
テニスの団体戦の決勝を控えた前日、いつものようにこの慣れた動作をバスルームから出るときに行なった。
右脚の水を振り切ってバスマットに着地させた後、スムーズな連係で左脚。
しかしその日はなぜなのだろう、空間認知力というものがおそろしく欠如していたらしい。
左脚をフルスピードで振り切った直後のことだった。
パキン!!という高く乾いた音がバスルームで鳴り響いた。
「うぎゃ!」とかいう悲鳴もほぼ同時にあったと思う。
残響・・・。
激しい痛みと眩暈が同時にやってきた。
やってしまった・・・と思った。
私の足の指先は、ドア枠の部分にきっちりと垂直にストライクしたらしい。
怖くてすぐには被害状況を見ることができなかった。
少しの間、痛みを抱えながら呆然としていた。
気を取り直して、足先をおそるおそる見ると、左の第二指がインド洋の色をして膨れていた。
明日の試合のことが頭にどっしりとのしかかる。
団体戦のため、穴を開けることはできない。
医者に行ったら、絶対試合に出られないような処置をするだろうな、と思った。
どっちにしろ夜だし、明日は日曜だし、自然治癒派だし、医者はいいやという結論に至った。
氷で冷やしながら、割り箸を指の長さに合わせて何本か切断し、テープの上に等間隔で並べ、応急ギブスを作成した。
腫れた指に湿布をあて、第一指を添木代わりに一緒にギブスを巻き、包帯で固定した。
ベッドに入っても、じんじんと疼いて眠るどころではない。
けっきょく一睡もせぬまま試合当日をむかえた。
試合会場に行く前にしっかりと準備をした。
指先がシューズに当たらないように、シューズのソールを残して爪先のアッパー部分をカッターで切断した。「テニスシューズサンダル化作戦」。
第一・二指をきっちりと一本化させるため、ギブスの上からテーピングをしっかり巻いた。「二本で親指一本大作戦」。
中指と一体化させた方が骨格の構造上いいのだろうが、太くて安心できる親の方に寄り添わせることにした。
会場でチームメンバーに昨夜の出来事を話すと、一瞬にして場が凍った。
あきらめの空気が流れる。でも、まぁ起こったことはもう仕方がないのである。
私が出場するのはダブルスなので、なんとかペアに頑張ってもらおうということで話を早々に終わらせた。
私の試合の相手は横浜では名の知れたペアだった。
試合になるとほとんど痛みはなくなった。
ただ、脳の中ではちゃんとした制御が働いていて、忍者が水の上を走るように(見た事ありませんが)、できるだけ膝を挙げずに摺り足に近いかたちでコートの上をすばやく移動していた。
怪我をしたことで、集中力は通常の何倍にもなった。
ラケットを持つ手のひらの感覚も極めて鋭敏になった。
そして、ペアの尽力もあって、なんとか勝つことができた。
チームとしても一つの駒も落とさず完全な勝利。横浜市社会人団体戦優勝である。
周りの人間の勧めで翌日医者に行った。
レントゲンを撮ると、骨の関節に近いところが一部欠けていただけだった。
明日はその横浜市社会人団体テニストーナメントの4、5回戦がある。
優勝するまであと4つ。なんとか勝ちたい。
うん、わかるわかる。 団体戦って個人戦と違って、
チームで一つだからその責任って思いよね。
仮に前日39度の熱があったとしても次の日に団体戦が
あるとなると行っちゃうんだよね・・・。
まさにみんなのパワーをもらいに行くって感じかなぁ。
1+1=2にも3にもなるので、そこが団体戦の魅力ですね。
でもその足の指先って痛そうですね・・・怖い怖い。
縁起を担いで、試合前にもう一回’真夏の夜の悲鳴’を
やってみたら?冗談ですよ。
でもその優勝は人一倍うれしかったのではないでしょうか!
勝ってこそテニスといいますが、負けたことにより得るものが
多くあると思います。特に団体戦は・・・。
私も同じスポーツをし、アートを愛する人間として
今後のご期待を願っています。
ちなみに私は同じ神奈川県の相模原の人間です。
下記に私のホームグランドのHPを載せました。
よかったら私の作品もご覧ください!笑
http://www.oftg.net/
『シンプル イズ ベスト』
そして『バランス』を愛するおとこより
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横山さま
作品見ました。メタモルフォーゼスの具合が絶妙です。
こんな才能があるとは・・・。
そうです。「仮に」前日39度の熱があったとしても試合に出てしまうんです(笑)。
しかし、「仮に」代行をたてることができなかったら、仕方なく試合を捨てなければならないんです(笑)。
秋のシングルス、頑張りましょう!
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KOYさま
誰にでも才能はあると思いますよ。ただ・・・
日本の昔からの風潮で『沈黙は金』とか『出る杭は打たれる』と
いうのがありましたから、みんな才能を隠しているんだと思います。
でも最近は欧米に習って日本でも自己アピールが盛んになってきました。
そんなことで私も10年前の作品をちょっと出してみました。
そこで『へぇ~』と思ってくれればうれしい限りです。自己満足ですから・・・
最近、テニス・ゴルフ・囲碁・将棋をする中で、私の持論ですが
『テニスと将棋』、『ゴルフと囲碁』は共通点がありとても似ています。
それは『点と線』の違いでもあり、『静と動』の違いでもあります。
また最近強く思うことに『リラックス・ウォッチ・リズム』はすべてに
おいて重要なキーであることを感じます。名づけて横山式RWR理論。
また『黄金比』のような美しい『バランス』に憧れたり、
物事の本質とは実はとても『シンプル』なものであると考えます。
最近は『感性と理性の融合』が重要だと思います。
まさにアート的要素と論理的要素の世界の融合で、
またその感性と理性とのバランスや
シンプルさを追求するのが面白いと思います。
答えのない世界・・・それが今の世の中です!笑
KOYさまはきっと・・・私の考え・価値観を理解してくださると思っています。
秋のシングルス・・・戦略として、
1.ボールを深く打つ
2.間を作る
3.チャンスがあれば攻める
そして足の痙攣がなければ、きっと良い結果を残せることを信じています。
お互いがんばりましょう!
明日の栄光に向かって・・・
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そうですね。私も才能は誰にでもあると思います。
その才能を知っていながら隠している人もいるでしょうし
また、その自分の才能に気付かないで生活している人もたくさんいると思います。
隠している人は、横山さんの言うように、周囲との関係を気にしてか
あるいはただ単にその才能を発揮する場を見つけられないかのどちらかであり
才能に気付かないというのは、あらゆるものごとに果敢に挑戦していないからであると私は思います。
ここでいう「あらゆるものごと」というのは、具体的に行動をおこすことで成立するものだけではなく
頭の中だけで完結する「思考」も含んでのことです。
私はゴルフはやらないのですが(たまに打ちっぱなしに行くぐらいで)、「テニスと将棋」は似ているというのはよくわかります。
私はいつも「テニスはチェス」だなぁと思っていましたが、同じことですよね。
ちなみに私たちのテニスチーム名は世界最強のチェスコンピュータの名にあやかっています。
点と点とを結んだ線で追い込み、最後はキレのある線でとどめをさす。
バランスは私の人生のひとつのテーマであります(笑)。
いつもバランスを考えて生活しているような気が・・・(笑)。
大きな天秤の両端に「肉体」の箱と「精神」の箱がのっていて
たとえば「精神」の箱を開けると、中にまた小さい天秤があって
横山さんの言う「感情」と「理性」の箱がのっていて
また、それぞれその感情と理性の中に、また天秤と箱があってというように、
いくつもの入れ子構造になっている。そんなイメージを抱いています。
もちろんその天秤はふたつ腕のものだけでなく、いくつもの腕を同じステージで持っているものもあります。
無数にあるそれらの天秤を自分の価値観の中で釣り合わせる。そんな感じです。
それをいかにシンプルにするかが重要です。私の場合。
シンプルといえば、モンドリアンの絵、好きです(関係ないですけど)。
お互い頑張りましょう(いろんな意味でね)!
RWR理論、今度詳しく話を聴きたいと思います。
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